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第93回『ル・マン24時間レース』王者フェラーリにトヨタが挑む【2025】

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自動車耐久レースの最高峰、ル・マン24時間レースが2025年も開催されます。私が注目する第93回大会は、フランスのサルト・サーキットで2025年6月14日から15日にかけて行われ、FIA世界耐久選手権(WEC)の第4戦として組み込まれます。

この伝統の一戦は、選手権ポイントが通常の6時間レースの2倍となるため、シーズンを占う上で極めて重要なラウンドです。近年、特にハイパーカークラスへの新規マニュファクチャラーの参入が相次ぎ、WECは「黄金時代」とも称されるほどの盛り上がりを見せています。

多くの強豪チームとドライバーがサルト・サーキットに集結し、24時間にわたる過酷な戦いを繰り広げることは間違いありません。

タップできる目次

第93回大会の概要と展望

第93回ル・マン24時間レースは、自動車耐久レースの頂点として、再びその戦いの火蓋が切られようとしています。私が考えるに、この大会は単なる一戦ではなく、WECシーズン全体を左右する重要な意味を持っています。

伝統の一戦の位置づけ

2025年6月14日から15日にかけて開催されるル・マン24時間レースは、1923年から続く長い歴史と伝統を誇るレースです。フランスのサルト・サーキットを舞台に、昼夜を問わず24時間走り続けるこのレースは、マシンの耐久性、チームの戦略、そしてドライバーの技術と精神力の全てが試される究極の戦場と言えます。

2025年のFIA世界耐久選手権(WEC)においては第4戦として組み込まれており、その重要性は計り知れません。通常のWEC6時間レースと比較して、ル・マンでは倍の選手権ポイントが付与されるため、この一戦の結果がチャンピオンシップの行方に大きな影響を与えることは必至です。

黄金時代を迎えるWEC

近年のWEC、特に最高峰クラスであるハイパーカークラスは、多くのマニュファクチャラーが新規参入を果たし、まさに「黄金時代」と呼ぶにふさわしい活況を呈しています。フェラーリ、トヨタ、ポルシェ、キャデラック、プジョー、BMW、アルピーヌといった錚々たるメーカーに加え、2025年はアストンマーティンもトップカテゴリーに復帰します。

これほど多くのメーカーがしのぎを削る状況は、ファンにとってはたまらない魅力であり、レース展開の予測を一層困難にしています。第93回大会も、この流れを引き継ぎ、非常に見応えのあるレースとなるでしょう。

強豪ひしめく2025年グリッド|各クラス徹底解剖

第93回ル・マン24時間レースには、ハイパーカー、LMP2、そしてLMGT3の3つのクラスで合計62台のマシンがエントリーする予定です。13ものマニュファクチャラーが名を連ね、各クラスで激しい戦いが予想されます。私が特に注目しているのは、やはり総合優勝を争うハイパーカークラスの動向です。

Hypercar|メーカー覇権争いの主戦場

総合優勝を争うハイパーカークラスには、21台という充実したエントリーが集まりました。FIAとACO(フランス西部自動車クラブ)が導入したル・マン・ハイパーカー(LMH)およびル・マン・デイトナh(LMDh)規定の成功が、この盛況ぶりを明確に示しています。これらの規定は、マニュファクチャラー独自の開発(LMH)や、コストを抑えたシャシー共有(LMDh)といった多様な技術的アプローチを許容することで、多くの自動車メーカーにとって魅力的なプラットフォームとなりました。結果として、かつてないほどの多様なマニュファクチャラーが参戦し、予測不可能な激戦が期待されます。

トヨタ・ガズー・レーシング|参戦40周年の節目

ル・マン参戦40周年の節目を迎えるトヨタは、2台のGR010 HYBRIDで6度目の総合優勝を目指します。カーナンバー7はマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ニック・デ・フリース組、カーナンバー8はセバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮組という強力な布陣で臨みます。私が注目するのは、この記念すべき年にトヨタがどのような走りを見せるか、そして特別なカラーリングが施されるマシンの活躍です。カーナンバー7はかつてのTS020(GT-One)を彷彿とさせる赤と白のデザイン、カーナンバー8は現在の闘争心を表現するマットブラックのカラーリングで登場します。

フェラーリAFコルセ|3連覇への挑戦

2023年、2024年と連覇を果たしているフェラーリは、3台の499Pで3連覇を狙います。カーナンバー50はアントニオ・フォコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセン組、カーナンバー51はジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ、アレッサンドロ・ピエール・グイディ組、そしてAFコルセとしてエントリーするカーナンバー83はフィル・ハンソン、ロバート・クビサ、イェ・イーフェイ組がドライブします。王者フェラーリの強さは本物であり、その走りは他チームにとって大きな脅威となるでしょう。

ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ|盤石の体制

ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは3台のポルシェ963を投入します。カーナンバー4(IMSA枠)はフェリペ・ナッセ、ニック・タンディ、パスカル・ウェーレイン組、カーナンバー5(WEC枠)はジュリアン・アンドラウアー、ミカエル・クリステンセン、マシュー・ジャミネ組、カーナンバー6(WEC枠)はマット・キャンベル、ケビン・エストレ、ローレンス・ヴァントール組が担当します。さらに、プロトン・コンペティションもカスタマーのポルシェ963を1台走らせます。ポルシェの層の厚さは、間違いなく優勝争いに絡んでくるでしょう。

キャデラック|4台体制で上位を狙う

キャデラックは、ハーツ・チーム・ジョタから2台(カーナンバー38にはジェンソン・バトンが搭乗)、キャデラックWTR(IMSA枠)から1台、キャデラック・ウェーレン(IMSA枠)から1台と、合計4台のVシリーズ.Rが参戦します。多くのマシンを投入することで、戦略の幅も広がり、上位進出のチャンスをうかがいます。

BMW MチームWRT|著名ドライバーを擁して参戦

BMW MチームWRTは2台のBMW MハイブリッドV8で参戦します。カーナンバー15にはケビン・マグヌッセン、カーナンバー20にはレネ・ラストといった著名ドライバーが名を連ねます。経験豊富なドライバーたちの手腕に注目です。

アルピーヌ・エンデュランス・チーム|新カラーリングで登場

アルピーヌ・エンデュランス・チームは2台のA424で挑みます。カーナンバー36にはミック・シューマッハが搭乗します。チームは2025年仕様の新しいカラーリングも発表しており、その走りとともに注目を集めるでしょう。

プジョー・トタルエナジーズ|実力派ドライバーで挑む

プジョー・トタルエナジーズは2台のプジョー9X8を投入します。カーナンバー93にはポール・ディ・レスタ、ジャン・エリック・ベルニュ、カーナンバー94にはストフェル・バンドーンといった実力派ドライバーが揃います。独特なリアウィングレスのマシンがどのようなパフォーマンスを見せるか、期待されます。

注目エントリー|アストンマーティンの復活

英国の雄、アストンマーティンが2011年以来となるトップクラスへの復帰を果たすことは、今大会の大きな注目点の一つです。アストンマーティンTHORチームが2台のアストンマーティン・ヴァルキリーを走らせ、大会の格式と競争を一層高めることが期待されます。私が思うに、この復帰は多くのモータースポーツファンにとって待望のニュースであり、レースに新たな興奮をもたらすでしょう。

LMP2|熾烈を極めるプロトタイプアリーナ

プロ/アマ規定のプロトタイプカテゴリーであるLMP2クラスには、17台のオレカ07ギブソンがエントリーし、激戦が予想されます。このクラスは、WECのフルシーズンクラスからは外れたものの、ル・マン24時間レースにおいては依然として強力なグリッドを形成しており、その存在意義は大きいです。現行LMP2マシンのホモロゲーション期間が2027年末まで延長されたことは、このクラスがELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)、ALMS(アジアン・ル・マン・シリーズ)、IMSAといった地域選手権において、才能あるドライバーやチームにとって重要な育成の場であり、コスト効率の高いプロトタイププラットフォームとしての役割を今後も担い続けることを示しています。

注目チームとドライバー

注目チームとしては、ユナイテッド・オートスポーツ、IDECスポール(カーナンバー18にはアンドレ・ロッテラーとジェイミー・チャドウィックが搭乗)、アルガルベ・プロ・レーシング、インターユーロポル・コンペティションなどが挙げられます。アンドレ・ロッテラーのような経験豊富なトップドライバーや、ジェイミー・チャドウィックのような注目株が参戦することは、LMP2クラスが依然として高いレベルの競争の場であることを物語っています。このクラスの接戦は、総合優勝争いとは別の興奮を提供してくれます。

LMGT3|世界のGTブランドが覇を競う

2024年にGTE Amクラスに代わって導入され2年目を迎えるLMGT3クラスには、アストンマーティン、BMW、シボレー(コルベット)、フェラーリ、フォード、レクサス、マクラーレン、メルセデスAMG、ポルシェといった多様なマニュファクチャラーから24台がエントリーします。このクラスは、世界的に認知されているFIA GT3規定をベースとしつつ、WEC独自のドライブシャフト・トルクセンサーやリーダーライト・ディスプレイパネルといった共通機器の搭載を義務付けることで、ル・マンという特別な舞台での競争条件を標準化し、世界中のカスタマーレーシングプログラムとル・マンとの連携を強化しています。市販車に近いマシンでのレースは、ファンにとっても身近に感じられる魅力があります。

注目ドライバーとチーム

MotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシは、チームWRTのBMW M4 GT3 Evo(カーナンバー46)を駆り、4輪レースでのキャリアを継続します。彼の参戦は多くのファンの注目を集めるでしょう。

アイアン・デイムス(ラヘル・フレイ、ミシェル・ガッティン、セリア・マルタン)の女性トリオは、ポルシェ911 GT3 R(カーナンバー85)で参戦し、その人気と競争力を再び示すことになります。

元F1ドライバー、ルーベンス・バリチェロの息子であるエドアルド・バリチェロは、レーシング・スピリット・オブ・ルマンのアストンマーティンで参戦します。

AWAレーシングは、カナダをテーマにした特別なカラーリングのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rで登場します。これらの個性豊かなチームとドライバーが、LMGT3クラスの戦いをさらに面白くしてくれます。

※ ドライバーラインナップは変更される場合があります。完全な情報は公式発表をご確認ください。

クラスNo.チーム名車両主要ドライバー
Hypercar7Toyota Gazoo RacingToyota GR010 HybridM.コンウェイ、小林可夢偉、N.デ・フリース
8Toyota Gazoo RacingToyota GR010 HybridS.ブエミ、B.ハートレー、平川亮
50Ferrari AF CorseFerrari 499PA.フォコ、M.モリーナ、N.ニールセン
51Ferrari AF CorseFerrari 499PJ.カラド、A.ジョビナッツィ、A.ピエール・グイディ
6Porsche Penske MotorsportPorsche 963K.エストレ、M.クリステンセン、L.ヴァントール
007Aston Martin THOR TeamAston Martin ValkyrieT.ギャンブル、R.ガン、H.ティンクネル
36Alpine Endurance TeamAlpine A424M.シューマッハ、J.グーノン、F.マコヴィッキ
LMP218IDEC SportOreca 07-GibsonJ.チャドウィック、M.ジョベール、A.ロッテラー
22United AutosportsOreca 07-GibsonP.フィッティパルディ、D.ハイネマイヤー・ハンソン、R.ファン・デル・ザンデ
LMGT346Team WRTBMW M4 GT3 EvoA.アル・ハーティ、V.ロッシ、K.ファン・デル・リンデ
85Iron DamesPorsche 911 GT3 R (992)R.フレイ、M.ガッティン、C.マルタン
10Racing Spirit of LémanAston Martin Vantage AMR GT3E.バリチェロ、D.デボア、V.ハッセ・クロット
主要エントリーリスト

栄光への道|レースウィーク徹底ガイド

ル・マン24時間レースの興奮は、決勝レースのはるか以前から始まります。私が毎年楽しみにしているのは、レースウィーク独特の雰囲気と、徐々に高まっていく緊張感です。

伝統的な公開車検(スクrutineering)は、2025年6月6日(金)と7日(土)にル・マン市街中心部で行われ、ファンがマシンとドライバーを間近に見る絶好の機会となります。公式テストデーは6月8日(日)に予定されています。これらのイベントは、単なる形式的な手続きではなく、チームにとってはマシンの最終調整、ドライバーにとってはユニークなサルト・サーキットへの再習熟、そしてファンにとってはレース本番への期待感を高める重要な期間となるのです。特に市街地での公開車検は、レースを地域社会に近づけるル・マンならではの伝統です。

詳細オントラックスケジュール|フリー走行からチェッカーフラッグまで

主要なレースウィークのスケジュールは以下の通りです(時間は現地時間CEST、括弧内は日本時間JST)。このスケジュールを把握しておくことで、レースウィークをより深く楽しむことができます。

  • 6月11日(水)
    • フリー走行1|14:00 – 17:00 (21:00 – 24:00)
    • 予選(LMP2 & LMGT3)|18:45 – 19:15 (翌1:45 – 2:15)
    • 予選(Hypercar)|19:30 – 20:00 (翌2:30 – 3:00)
    • フリー走行2|22:00 – 24:00 (翌5:00 – 7:00)
  • 6月12日(木)
    • フリー走行3|14:45 – 17:45 (21:45 – 翌0:45)
    • ハイパーポール(LMP2 & LMGT3)|セッション1 20:00 – 20:20 (翌3:00 – 3:20)、セッション2 20:35 – 20:50 (翌3:35 – 3:50)
    • ハイパーポール(Hypercar)|セッション1 21:05 – 21:25 (翌4:05 – 4:25)、セッション2 21:40 – 21:55 (翌4:40 – 4:55)
    • フリー走行4|23:00 – 24:00 (翌6:00 – 7:00)
  • 6月14日(土)
    • ウォームアップ|12:00 – 12:15 (19:00 – 19:15)
    • 決勝レーススタート|16:00 (23:00)
  • 6月15日(日)
    • 決勝レースフィニッシュ|16:00 (翌23:00)

ハイパーポール予選のドラマを理解する

近年導入されたハイパーポール形式は、各クラスのグリッド上位を決定するエキサイティングなセッションです。最初の予選セッションの後、各クラスから選ばれたマシン(LMP2は上位12台、ハイパーカーは上位15台との情報もありますが、FIA WEC公式サイトでは3クラス全てでハイパーポールが実施されると詳述されています)が、この短時間集中型のセッションに進出し、ポールポジションをかけて激しいタイムアタックを繰り広げます。

この方式は、レース本編の長丁場とは対照的に、凝縮された興奮をファンと放送局に提供するために考案されました。伝統的に長時間にわたるセッションで行われていたル・マンの予選を、より短く、より激しい一騎打ちの形式にすることで、現代のモータースポーツにおける予選のスペクタクル性を高める試みと言えます。これにより、ファンにとっては明確な「見逃せない」瞬間が生まれ、テレビ中継にとっても魅力的なコンテンツとなっています。私が思うに、このハイパーポールは予選の醍醐味を凝縮した、非常に見応えのあるイベントです。

日付(現地)曜日セッション現地時間 (CEST)日本時間 (JST)
6月11日フリー走行114:00 – 17:0021:00 – 24:00
6月11日予選 (LMP2 & LMGT3)18:45 – 19:15翌1:45 – 2:15
6月11日予選 (Hypercar)19:30 – 20:00翌2:30 – 3:00
6月11日フリー走行222:00 – 24:00翌5:00 – 7:00
6月12日フリー走行314:45 – 17:4521:45 – 翌0:45
6月12日ハイパーポール (LMP2 & LMGT3) – Session 1 & 220:00 – 20:50翌3:00 – 3:50
6月12日ハイパーポール (Hypercar) – Session 1 & 221:05 – 21:55翌4:05 – 4:55
6月12日フリー走行423:00 – 24:00翌6:00 – 7:00
6月14日ウォームアップ12:00 – 12:1519:00 – 19:15
6月14日決勝レース スタート16:0023:00
6月15日決勝レース フィニッシュ16:00翌23:00
レースウィーク オントラックスケジュール(主要セッション、日本時間併記)

スペクタクルを形作る|2025年主要レギュレーション変更点

2024年10月17日、FIA世界モータースポーツ評議会は、2025年のFIA WECシーズンに向けたいくつかの競技規則および技術規則の変更を承認しました。これらの変更は、レースの魅力向上と持続可能性を目指すものです。私が注目する変更点をいくつか紹介します。

LEDディスプレイパネルの導入

従来の「リーダーライト」に代わり、車両の両側面に多色LEDディスプレイパネルが搭載されます。これにより、より広い視野角からの情報視認性が向上し、順位やドライバー識別情報など、様々な情報を表示できるようになります。「ファン体験の向上」が目的とされており、LMGT3車両にもこの搭載が義務付けられます。62台ものマシンが混走する多クラスレースにおいて、観客がリアルタイムで車両の位置やその他のデータを容易に把握できるようになることは、観戦体験を大幅に向上させるでしょう。これは、複雑な耐久レースをより分かりやすくするための技術的な一歩と言えます。

ハイパーカーのホモロゲーション期間延長

ハイパーカーカテゴリー車両のホモロゲーション期間が2年間延長され、2029年シーズン終了までとなりました。この長期的な視点は、マニュファクチャラーが高額なプログラムに対して、規則が大幅に変更されることへの懸念を抱くことなく、より安心して投資を行うことを支援します。これは、現在ハイパーカークラスで見られるマニュファクチャラー参入ブームを支える重要な要素であり、アストンマーティンのような新規参入組や、既存のトヨタ、フェラーリ、ポルシェといったマニュファクチャラーがプログラムを継続する上で魅力的な安定性を提供します。

LMP2のホモロゲーション期間延長

同様に、現行世代のLMP2車両のホモロゲーション期間も、関連シリーズにおいて2027年末まで延長されます。これにより、LMP2クラスの安定性が確保され、チームやドライバーにとって参戦しやすい環境が維持されます。

最低運転時間の短縮

FIA WEC選手権ポイントを獲得するために必要なドライバー1人あたりの最低運転時間が、60分から45分に短縮されました。この15分の柔軟性は、ドライバーの体調不良時や、チームが特定のドライバーを戦術的に短いスティントで起用したい場合に、戦略の幅を広げることになります。

ハイパーカー・マニュファクチャラーのポイント対象車両指定

各ハイパーカー・マニュファクチャラーは、世界選手権ポイントを獲得する対象となる車両を2台指定しなければならなくなりました。これにより、ル・マンで3台以上の車両を走らせるポルシェ、キャデラック、フェラーリのようなマニュファクチャラーにとって、チャンピオンシップポイントの配分が明確になります。指定されなかった車両は、ル・マンでの勝利そのものを目指す「スポイラー」役やサポートエントリーとしての役割を担うことになり、WECマニュファクチャラータイトル争いにおいては、指名された車両とそうでない車両の間で異なるレース戦略が取られることも考えられます。

サーキットを超えて|記念祭、ファンイベント、祝祭

ル・マン24時間レースは、単なるレースイベントではなく、1週間にわたる壮大なお祭りです。第93回大会も、様々な記念行事やファン向けの催しが予定されており、レース以外の楽しみも満載です。私が毎年感じるのは、このお祭り全体の雰囲気が、ル・マンを特別なものにしているということです。

トヨタのル・マン参戦40周年

今大会の大きな記念トピックの一つが、トヨタ・ガズー・レーシングのル・マン参戦40周年です。チームはこの節目を祝い、2台のGR010 HYBRIDに特別なカラーリングを施します。カーナンバー7は、1998年から1999年に活躍した象徴的なTS020(GT-One)にインスパイアされた赤と白のデザインをまとい、カーナンバー8は「現在の闘争心」を象徴するマットブラックのカラーリングで登場します。両車には特別な記念ロゴも掲げられます。1985年の85Cから始まったトヨタのル・マンにおける豊かな歴史と、過去の象徴的なマシンへのオマージュは、ファンのエンゲージメントを深める重要な要素となるでしょう。

ル・マン体験|ファンゾーン、コンサート、エンターテイメント

ACOは、観客体験の向上に力を入れており、5つのテーマ別ファンゾーンと複数の「ビレッジ」を設けます。ファミリーファンゾーン、コンサートファンゾーン、イーストゲートファンゾーンに加え、新たにカーティングエリア(モータースポーツテーマ)とテールルージュ(アドベンチャーテーマ)にもファンゾーンが設置されます。これらのエリアでは、エンターテイメント、展示、飲食物販、大型スクリーン、休憩施設などが提供されます。

6月11日(水)から14日(土)にかけては、エディ・ド・プレット、パスカル・オビスポ、クングス、クール&ザ・ギャング、ザ・アヴェナーといったアーティストが出演する大規模なコンサートシリーズも開催されます。これらの充実したオフ・トラックエンターテイメントは、ル・マン24時間レースを純粋なモータースポーツイベントから、家族連れや一般のイベント好きも楽しめる1週間にわたるフェスティバルへと昇華させています。

24時間博物館はレースウィーク中オープンし、伝統のドライバーズパレードは6月13日(金)にル・マン市街中心部で行われます。これらのイベントは、ル・マンの豊かな歴史とノスタルジアを活用し、ファンとの絆を深めます。

特別イベント

レースウィーク中には、さらに特別なイベントも企画されています。これらもル・マンの魅力を高める要素です。

  • ホットウィール™・レジェンドツアー2025決勝|レース中の6月14日(土)18:00に開催。
  • マスタング・チャレンジ・サポートレース|6月11日(水)に開催予定。
  • ACO H2水素ビレッジ|水素プロトタイプや移動式充填ステーションを展示し、未来の技術を紹介します。この専用ビレッジは、ル・マンが持続可能な未来技術のショーケースおよび開発拠点としての役割を担っていることを示すものであり、水素技術が耐久レースの次の革新の柱として位置づけられていることを示唆しています。
  • ロジャー・フェデラー氏が公式スターター|テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー氏がレースの公式スターターを務めます。

歴史の目撃者となる|第93回ル・マン観戦ガイド

ル・マン24時間レースの興奮を現地で味わうことができないファンにとっても、様々な観戦方法が用意されています。私がおすすめするのは、公式情報を活用し、レースの全てを余すところなく楽しむことです。

グローバル放送概要

FIA WECおよびル・マンの公式アプリ(WEC TV、Le Mans TV)では、ライブストリーミング、ライブタイミング、豊富な情報が提供されます(一部有料の場合があります)。これらのアプリを活用することで、レースの状況をリアルタイムで把握し、より深くレースを楽しむことができます。

日本国内での視聴方法|J SPORTS徹底解説

日本のファンにとって、2025年のル・マン24時間レースの主要放送局はJ SPORTSとなります。J SPORTSは、長年にわたりル・マン24時間レースを放送しており、その中継品質には定評があります。

J SPORTS 1(衛星放送)およびJ SPORTSオンデマンド(オンラインストリーミング)にて、24時間の決勝レースを含む全セッションが生中継される予定です。決勝レースは、日本時間6月14日(土)23:00にスタートし、6月15日(日)23:00にフィニッシュを迎えます。Amazon Prime VideoチャンネルでもJ SPORTSが視聴可能で、新規加入者向けのキャンペーンが実施される場合があります。

DAZNでは、J SPORTSが日本国内での独占放映権を保持しているため、ル・マン24時間レースの放送は行われません。トヨタ・ガズー・レーシングも、公式WEC/ル・マンアプリへのリンクや、「#Lemans24jp」「#WECjp」といったソーシャルメディアハッシュタグを含む観戦ガイドを提供しています。

J SPORTSによる全セッションの包括的なライブ中継は、日本国内におけるル・マンへの関心の高さを反映しています。これは、トヨタの継続的な参戦と成功、そして小林可夢偉選手や平川亮選手といった日本人ドライバーが最高レベルで活躍していることが大きな要因でしょう。従来の衛星放送とオンラインストリーミングという複数のプラットフォームでの提供は、多様な視聴者の嗜好と現代のメディア消費習慣に対応し、より幅広い層へのアクセシビリティを確保する戦略と言えます。

セッション日本での日付日本時間 (JST)放送チャンネル(予定)
予選 (全クラス)6月12日(木)1:45 – 3:00J SPORTS 1, J SPORTSオンデマンド, Amazon J SPORTS
ハイパーポール (全クラス)6月13日(金)3:00 – 4:55J SPORTS 1, J SPORTSオンデマンド, Amazon J SPORTS
決勝レース スタート~フィニッシュ6月14日(土)~<br>6月15日(日)23:00~翌23:00J SPORTS 1 (全編生中継), J SPORTSオンデマンド, Amazon J SPORTS
J SPORTS ル・マン24時間レース2025放送予定(日本時間・主要セッション)

エキスパートの視点|24時間耐久レースの主要な物語と予測

第93回ル・マン24時間レースは、数多くの見どころと予測不可能な要素に満ちています。私が特に注目しているポイントは、熾烈な覇権争いと、それを支えるチームやドライバーの挑戦です。

予想される戦いと戦略的焦点

ハイパーカークラスの覇権争いは、今大会最大の物語となるでしょう。8社以上のマニュファクチャラーがしのぎを削る中、フェラーリが連覇を継続するのか、それともトヨタが40周年の節目にル・マンの栄光を取り戻すのか。復帰するアストンマーティン・ヴァルキリーが、ポルシェ、キャデラック、BMW、プジョー、アルピーヌといった既存の強豪に対してどのような戦いを見せるのか注目されます。

タイヤ戦争とBoP(性能調整)も重要な要素です。ハイパーカークラスはミシュラン、LMGT3クラスはグッドイヤーのワンメイクタイヤが採用されますが、特に昼夜の路面温度変化を通じてこれらのタイヤを長時間のスティントでいかにマネジメントするかが鍵となります。常に議論の的となるBoP調整が、各マニュファクチャラー間の競争条件をいかに公平に保つか、その動向が注視されます。

信頼性対スピードという、ル・マンにおける永遠のジレンマも健在です。究極のペースを追求すればメカニカルトラブルのリスクが高まり、より保守的なアプローチではタイムを失いかねません。24時間を通じて完璧なバランスを見つけることが重要となります。

ヒューマンエレメント|ドライバーとチームの挑戦

ドライバーの疲労と一貫性は、24時間レースにおける大きな課題です。昼夜、そして変化する天候条件の中で、ドライバーが集中力とパフォーマンスのピークを維持することは計り知れない挑戦であり、3スティント、4スティント連続走行も珍しくありません。

チーム戦略とピットワークも勝敗を左右します。完璧なピットストップ、タイヤ交換や燃料戦略に関する的確な判断、そしてドライバーローテーションの管理は、トラック上でのスピードと同じくらい重要です。ポイント獲得のための最低運転時間が45分に短縮されたことは、戦術にわずかながら変化をもたらすでしょう。

トラフィックの処理も軽視できません。3つの異なる速度域のクラスからなる62台のマシンが混走するため、特に高速なハイパーカーやLMP2プロトタイプがGTカーを周回遅れにする際のトラフィック処理は、常にリスクとチャンスが隣り合わせとなります。

ル・マンは予測不可能な天候で知られており、これがレース展開を一変させる可能性があります。特に夜間や断続的な雨は、タイヤ選択に関する戦略的な判断を複雑にし、アクシデントのリスクを大幅に高めます。これは、常に存在する「未知の要素」です。

ハイパーカークラスにおける前例のない数の有力マニュファクチャラーの参戦は、各チームが完璧なパフォーマンスを発揮することへのプレッシャーを増幅させます。戦略、ピットワーク、あるいはトラック上でのほんのわずかなミスが、競争の深さゆえにより深刻な結果を招くことがあります。これは、勝利だけでなく、表彰台を獲得することさえも、これまで以上に困難にすることを意味します。

まとめ

第93回ル・マン24時間レースは、かつてないほどの競争激化を見せるハイパーカークラス、依然として重要な役割を担うLMP2クラス、そしてグローバルなGT3規定をベースとしたLMGT3クラスが織りなす、まさに耐久レースの祭典となるでしょう。私が思うに、トヨタの参戦40周年という記念すべき節目、ファン体験を向上させるための新たな試み、そしてレースの公平性と魅力を高めるためのレギュレーション変更など、多くの見どころが詰まっています。

サルト・サーキットを舞台に繰り広げられる24時間のドラマは、マシンの性能、ドライバーの技術と精神力、そしてチームの戦略と結束力が試される究極の挑戦です。天候という不確定要素も絡み合い、一瞬たりとも目が離せない展開が予想されます。この「黄金時代」のル・マンが、モータースポーツ史にどのような新たな1ページを刻むのか、世界中のファンが固唾を飲んで見守ることになるでしょう。

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